溶接・溶断時の火花を遮断するのに有効な
溶接火花受けのスパッタシート
溶接作業をされる際に、火花から人・設備・施設などをガードすることが必要になります。その中でも、軽量で持ち運びでき、簡単に養生できるのがスパッタシートで、安全を考える上でも必要なシート素材です。
導入にあたっては、シート生地による違い、あるいは設置・使用方法などによってポイントがあります。最適なスパッタシートをお選びになれるようにご活用いただきたいと思います。
溶接火花受け・スパッタシートの2つのタイプ
溶接作業時に発生する火花・ノロを受けるスパッタシートには、2つのタイプがあります。
- ノロを付着させる
- ノロを弾く
どちらも溶接時の火花から人や機械を守れる点は同じですが、特徴が異なるので利用場所に応じて選ぶことをおすすめします。
火花・ノロを付着させるタイプのスパッタシートは、火花の飛散防止に効果的です。一方で、火花・ノロを弾くタイプのものは後処理や清掃が簡単というメリットがあります。また、付着させるタイプのものに比べて穴が空きにくい点も特徴です。
スパッタシートの特性を決める要素
スパッタシートの特徴は、おもに以下の3つの要素で決まってきます。
これらの要素について知っておくと、どのようなスパッタシートか概ね理解することが可能です。
1. 素材
スパッタシートの素材は、下記2つのどちらかを使われることが多いです。
- シリカ繊維
- 耐炎繊維
シリカ繊維は高耐熱のガラス繊維のことです。火花やノロを付着させやすく、飛散防止には最も適しています。
耐炎繊維は特殊なアクリル繊維から作られたものです。こちらも火花やノロを付着させやすく、水をまくと効果が上がります。
なお、耐炎繊維は、表面にシリコンコーティングをすることも可能です。
2. シリコン塗布の有無
耐炎繊維のスパッタシートはシリコンコーティングの有無で特性が変わります。
シリコンを塗布していると、火花やノロを弾くようになります。後処理や清掃が簡単になりますが、周辺にノロが飛散するので対策が必要です。
3. 織り方
スパッタシートは織り方によっても特性が変わります。たとえばフェルトの場合は厚みが自由に調整できるので、ノロ受けに適しています。しかし、折り曲げには弱いのがデメリットです。
このように、織り方によって特性が変わってきます。目的や用途にあったものを選ぶためには、カタログで織り方も確認するのがおすすめです。
溶接火花受けシート・スパッタシートのオーダーメイド製作
火花受け・スパッタシートの素材について
ビニプロで取り扱っている溶接火花受けシート(スパッタシート)は最高品質のA種合格品のANT-DX(VN-120TN)を使用しております。こちらは高耐久・高耐熱素材の長期間ご利用いただけるシート素材で、屈曲や摩擦抵抗にも優れており、両面シリコン加工が施されておりますので、火花受けシートとして使用する際にはどちらの面で使用いただいても問題ありません。ANT-DX(VN-120TN)は柔軟性の高い素材で、狭い場所での作業にも最適な高品質素材です。
シリコン(両面加工)は、主に火花をはじく目的の為に塗布しています。シリコンは擦れに弱いので、生地の表面を擦ると茶色に変色してしまいます。瞬間耐熱温度は1300℃、連続使用は250℃まで対応可能な耐熱シート素材となっております。
溶接火花のノロ・スパッタをシートに付着させたい場合や、耐熱1000℃まで耐えうる素材をお探しの場合は、ANT-600TOをご覧くださいませ。
火花受け・スパッタシートを使用した特注加工
火花受けシート(スパッタシート)を使用した特注加工もお任せください。例えば、防護服や足カバー・腕カバー・前掛けなども承っております。耐熱性・耐久性に優れたスパッタシートであれば素材も柔軟性があり防護用に使用しても作業しやすく、作業効率を改善します。小型サイズ・大型サイズ、いずれも細かなサイズ指定から特注加工まで簡単なスケッチや図面をご用意いただけましたら、スピードお見積りにてお提案いたします。防護用・保護カバーなどは各種既製品などもございますので、お気軽にお問い合わせください。
火花受け・スパッタシートの切り売りについて
ビニプロでは掲載している火花受けシート・スパッタシート素材以外にもご要望に応じて他素材も複数ご用意しております。より柔軟性を求める素材、より撥水性が必要な素材、より軽量性を重視した素材など、お客様のご要望に応じてご案内いたします。スパッタシートなどはシート生地の切り売りや、ロール状のままお納めいただくことも可能です。「オーダーサイズ・製作価格表」で掲載している価格表は平シートに加工を行った場合の加工費が含まれた価格を搭載しておりますので、ご参考ください。
平シート(長方形・正方形)のスパッタシートであればサイズ、ハトメの位置、オプション加工なども些細な事でも対応可能となっております。また、天井や空中に吊るしたりして使用する火花ホッパーなど立方体、三角形などの形状や特殊な指定加工なども承っております。プロの職人による加工技術、工場卸値価格として直送価格でお客様のご要望に応じてお応えいたします。
耐熱1000℃(瞬間温度1650℃)まで対応可能で火花・ノロなどをシートに付着させて使用したい場合はANT-600TOをご覧ください。
溶接火花受け・スパッタシートに関するよくある質問
ここではスパッタシートに関するよくある質問をまとめました。
防炎シートを火花受けとして利用できますか?
防炎シートは火花受けには代用できません。
防炎シートは延焼防止を目的としていて、燃え広がりにくいですが着火します。防炎シートを火花受けに使うと溶け、大変危険なので絶対に代用はおやめください。
溶接・溶断時に発生する火花を受け止めるには、必ずスパッタシートをご利用ください。
穴の開かないスパッタシートはありませんか?
絶対に穴があかないスパッタシートはありません。火花の高温により繊維は劣化してくるため、いずれ穴があきます。
ただし、穴が開くまでに使用できる回数は、使用環境やスパッタシートの素材により異なります。
スパッタシートのJISA種とはなんですか?
スパッタシートの難燃性を確認するJIS試験には、3つの基準(A種・B種・C種)があります。A種はもっとも厳しい基準になっているため、ハイグレードです。
なお、A種ならば9.0mm厚みの鋼板を溶断するときのスパッタに耐えることができます。